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認知症の方を落ち着かせる方法。具体例と対応方法

認知症でよくみられる行動「全般」について、特徴・原因・一般的な対策を紹介します。

認知症の方は、同じ話をくり返す、物を隠してしまう、家に帰りたいと訴える、など落ち着きのない行動を取ることがあります。これらは「BPSD(行動・心理症状)」である可能性が高く、徘徊や幻想、暴言など様々な症状をともなうことがあります。どのような方法にしても、本人の訴えに耳を傾けた上で不安を取り除くことが対応の基本となります。

<もくじ>
●認知症の方が落ち着かなくなる原因
●認知症の症状を理解する
●認知症の方への対応ポイント
●記憶機能の障害による症状と対応ポイント
●様々な認知症の症状と対応ポイント
●認知症で困ったらここに連絡(相談先)
●認知症の予防や改善に大切なのはコミュニケーション
●まとめ

介護は一人で抱え込まない。介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス、ショートステイを提供するアズハイム。
多職種でしっかり対応してまいります。

認知症の方が落ち着かなくなる原因

認知症になると、記憶機能や見当識機能、実行機能、認知機能などに障害が発生します。これらは「中核症状」と呼ばれ、もの忘れや判断力の低下などを招きます。また、中核症状が基になり「BPSD(行動・心理症状)」という周辺症状を引き起こすことがあります。

BPSDが発症すると、徘徊や幻覚をはじめ、妄想、暴言、暴力、うつなど、様々な症状が見られるようになります。BPSDは、一般的に問題行動とされるものが多く、ときには周囲を驚かせるような理解しがたい行動を取ることがあります。しかし、私たちには理解しがたい行動であっても、本人達には合理的な理由が存在していることが多いのです

そこで、何より大切なのは「傾聴」と「観察」です。まずは、本人の訴えに耳を傾け、その背後にある理由や感情を理解することが大切です。単に行動を抑えつけるような対応は、症状の悪化につながる可能性があるため注意が必要です。

このような理解と対応は、本人だけでなく家族のストレスを軽減し、「生活の質(QOL~Quality of Life)」の向上につながることから、介護者の負担軽減にもつながります。

なお、BPSDは人間関係や環境におけるストレスの高まりが発症の引き金となることが多い症状であるため、すべての方に発症するわけではありません。

認知症の症状を理解する

認知症の症状は多岐にわたります。症状が起きる原因を理解し、引き金となる不安や焦りを取り除くことは効果的な介護には欠かせません。

そこで、今回は川崎幸クリニックの院長、杉山孝博先生が執筆した「認知症の9大法則 50の症状と対応策」を参考に、認知症の症状とその特徴を紹介します。

この書籍では、認知症の症状ごとの特徴が9つの法則に分類されて紹介されています。当コラムではこの内容をそれぞれダイジェスト的に紹介します。

その1.記憶障害に関する法則

記憶障害は最も基本的な症状で、「記銘力の低下」「全体記憶の障害」「記憶の逆行性喪失」という3つの特徴があります。

(1)記銘力障害
経験したことを思い出す能力を「記銘力」といいますが、認知症の方はこの記銘力が低下するため、ひどい物忘れを起こします。同じことをくり返し説明しても、その都度忘れてしまうため、くり返し教えることにより、家族であっても「うるさい人」として嫌悪感を抱かれることがあります。

(2)全体記憶の障害
経験したこと自体を忘れるのが特徴です。本人にとっては、経験していないことなので、周囲の人がその事実を話しても納得しません。書籍では、食事の直後に「まだ食べていない」と訴えるケースが紹介されています。ちなみに、この場合は食事が終わった事実を告げるのではなく、「食事の準備をしているのでしばらく待っててもらう」といった対応が良いようです。

(3)記憶の逆行性喪失
記憶の逆行性喪失では、蓄積された記憶が過去にさかのぼって失われていくため、本人にとっては記憶が失われる直前の記憶が「現実」となります。書籍では、配偶者の顔が分からなくなり、お嫁さんを妻と誤認するケースが紹介されています。

その2.症状の出現強度に関する法則

認知症の症状は、身近な人、特に家族や日常的にお世話をしてくれる介護者に対して強く出るという特徴があります。逆に時々会う人や、目上の人に対しては比較的しっかりとした言動を取る傾向にあります。

書籍では、家族などの介護者に対する「いじわる」とも取れるこのような行動は、幼児が母親にわがままをいうのと同じ心理であると紹介されています。最も信頼し、頼りにしている身近な介護者だからこそあらわれる症状ではないかと考えられています。

その3.自己有利の法則

認知症の方に見られる特徴の一つとして「自分にとって不利なことは認めない」があり、この特徴を理解しておくことは介護において非常に重要です。認知症の方が自分の弱点や不利な状況を認めたがらないことを知ることで、介護者や家族は「無意味なやり取り」を避けることができます。

その4.まだら症状の法則

認知症の方の行動には、正常な判断による行動と、認知症に起因する行動が入り混じっているという特徴があります。この現象を「まだら症状の法則」といいます。

書籍では、認知症の方の行動が正常な判断によるものなのか、それとも認知症によるものなのかを見分ける重要性が強調されています。そして、認知症が原因であると判断された場合には、認知症の症状として割り切り、その上で適切な対応を取ることが大切だと紹介しています。

その5.感情残像の法則

認知症の方に見られる特徴の一つに「感情残像の法則」というものがあります。これは、認知症による記憶障害があるため、話したり聞いたりしたことは忘れてしまっても、そのときに感じた感情は残るというものです。

書籍では、この症状が見られる方は、「記憶などの知的能力の低下によって、一般常識が通用する理性の世界から出てしまって、感情が支配する世界に住んでいる」と紹介しています。これは、認知症の方は事実や情報よりも、受けた感情によって行動が決まることを意味しています。

この法則を理解することは、介護者がストレスを抱えないようにするためにも重要です。さらに書籍では、認知症の方とコミュニケーションを取る際には、以下の「4つのコツ」を心がけることを紹介しています。

(1)誉める、感謝する
認知症の方に対して肯定的な対応を取ると、ポジティブな感情を生み出すことができます。

(2)同情する
本人の気持ちに寄り添うことで、安心感を与えることができます。

(3)共感する
認知症の方の感情や体験に共感をすることで、つながりを築くことができます。

(4)謝る、事実でなくても認める、演技をする、嘘をつく
状況に応じて柔軟に対応することが、認知症の方の感情を安定させる上で効果的です。

これらは、認知症の方とその家族にとって、より良い関係を築くための重要なコツであるともいえます。

その6.こだわりの法則

認知症の方に見られる特徴の一つに「こだわりの法則」というものがあります。これは、一つの事柄に集中するとそこから抜け出せなくなり、周囲が説明したり、否定したりするほど、さらにこだわり続けるという症状です。

書籍では、この症状への対応として以下の方法が紹介されています。

(1)こだわりの原因を取り去る
こだわりの原因が明確であれば、その原因を取り除くようにします。

(2)そのままにしておく
差し支えない場合は、そのままにしておくことも適切な対応です。

(3)第三者の介入
認知症の方は、目上の人や社会的権威者のいうことを受け入れやすいので、そのような人物からの説明が効果的です。

(4)関心を別のものに向ける
説得するよりも、別のものに関心を向けさせることが有効的な場合があります。

(5)地域の理解・協力を得る

(6)一手だけ先手を打つ
例えば、郵便物をしまい込む症状がある場合、先手を打って重要な郵便物を事前に取り出しておきます。

(7)本人の過去を知り、こだわりを理解する
対話から理由を聞き出し、その行動の背景を理解します。

(8)長期間は続かないと割り切る
一般的に、一つの症状は長く続かず、半年から1年ほどで別の症状に変わることが多いので、気楽に考えることも重要です。

その7.作用・反作用の法則

認知症の方への対応が強い場合、同じように強い反応が返ってくるというものです。このため、介護者には、認知症の方に対して柔軟でありながらも、穏やかで忍耐強い対応を心がけることが求められます。

ただし、介護に疲れたときは、そのままにしておいても問題がないような状況であれば、無理に対応しないことも選択肢の一つになることをおぼえておきましょう。かえって本人の安心や穏やかな状態の維持に役立つことがあります。

その8.症状の了解可能性に関する法則

認知症の症状のほとんどが、認知症の方の立場に立ってみることで十分に理解できるというものです。認知症の方の様々な行動は、本人の内面的な体験や感情などに根ざしていることが多いものです。したがって、認知症の方の気持ちや立場に立って物事を考えることで、その行動の背景をより深く理解することができ、より良いコミュニケーションを取ることができます。

その9.衰弱の進行に関する法則

これは、認知症の方の体力低下の速度は、認知症ではない人と比べて速いというものです。認知症の方の日常における活動レベルは低下しがちです。そこで、介護者は、体力低下に注意を払い、適切な運動や栄養摂取などで対策を講じる必要があります。軽い運動や趣味の活動、社会的な交流などを通じて、認知症の方の健康を促進する取り組みを考えてみましょう。

認知症の方への対応ポイント

認知症の方への対応において最も重要なことは、行動を無理やり抑えつけたり、責めたりするのではなく、本人の訴えに耳を傾け、不安や焦りを取り除くことです。本人に安心感を抱いてもらうことは、症状の軽減に加え介護の負担軽減にもつながります。また、「自尊心を傷つけないこと」「焦らせないこと」の2つを心掛けることも大切です。

そこで、ここでは、安心感を与えるために必要な対応ポイントをいくつか紹介します。先ほどの「認知症の9大法則」とあわせて実践してみてください。

共感する・否定しない
認知症の方とのコミュニケーションにおいて、最も大切なポイントの一つが共感する・否定しないという姿勢です。認知症の方の気持ちに寄り添うこのような対応は、不安や焦りを軽減するのに非常に効果的です。

スキンシップで安心感を与える
認知症の症状により、上手に対話ができない場合があります。このような状況では、非言語的なコミュニケーション手段が重要になります。笑顔は、認知症の方に落ち着きと安心感を与えます。また、手をやさしく握るなどのスキンシップは深い共感や愛情を伝え、不安や焦りを取り除きます。

柔らかい口調を心がける
声を荒げたり、厳しい口調で話すと、認知症の方は不安な気持ちになります。そのため、話すときには常に柔らかく、穏やかな口調を意識しましょう。

また、はっきりとした話し方を心がけ、認知症の方にストレスが溜まらないようにしましょう。特に、認知症の進行により聴覚や理解力が低下している場合は、ゆっくりと明確に言葉を伝えることが大切です。

ただし、認知症の方に話しかける際は、驚かせないように注意しましょう。後ろから突然声をかけると、不安にさせたり混乱させたりすることがあるので、できるだけ視界に入る位置から、優しく声をかけるようにしましょう。

できること、可能性に目を向ける
認知症の方が自分でできることに、介護者が不用意に手を出すことは、本人の自尊心を傷つける場合があります。そのため、自分でできる範囲のことには手を出さず、見守ることを心がけましょう。

安易に行動を制限しない
認知症の方の行動を制限することは慎重に行うべきです。特に、徘徊などの行動を抑えるために玄関に鍵をかけるなどの対策は、専門家などへ相談し慎重に行うべきです。不用意な行動制限が、かえって症状を悪化させることがあるため注意しましょう。

強制したり、叱ったりしない
強制したり、叱ったりすることで、「ネガティブな感情」が残り認知症の症状を悪化させることがあります。このような感情は、その後の行動に影響を及ぼすため叱ったりする対応などには注意を払いましょう(感情残像の法則)。

記憶機能の障害であらわれる症状と対応ポイント

認知症における主要な症状の一つが、記憶機能の障害です。そこで、ここでは記憶機能の障害に絞って様々な症状とそれぞれの対応ポイントを紹介します。

同じ話をくりかえす
認知症の方が同じ話をくり返すことは、記憶機能の障害で起きる一般的な症状です。
この症状に対しては、次のようなことがポイントになります。

(1)話を聞く
認知症の方が同じ話をくり返す場合は無理に遮らず、できる限り話を聞いてあげることが大切です。これにより、自分の話が受け入れられていると感じることができるため、安心感を得ることができます。

(2)話しかけない(ご本人の世界観を知る)
認知症の方が独り言をいっている場合は無理に話しかける必要はありません。独り言は、内面的な思考や感情を処理する手段であることから、介入することが必ずしも正しい対応であるとは限りません。

入浴を拒否する
この行動は、本人が入浴したかどうかを忘れ、次第に入浴自体を拒否するようになることで起こります。
そこで、直接的に入浴を促すのではなく、「新しい服を買ったので着てみませんか」といった別の理由で脱衣場に誘い、そのついでに入浴をしてもらうなど、本人の自尊心に気を使った対応を心がけましょう。

食べたことを忘れる
先ほども紹介しましたが、認知症の方の中には食事の直後に「まだ食べていない」と訴える方もいます。これは記憶機能の障害による一般的な症状で、対応では以下のポイントを心がけましょう。

(1)事実を強調しない
食事が終わった事実を強調するのではなく、認知症の方の現在の訴えに合わせて対応します。例えば、「食事の準備をしているので、もう少し待ってもらえますか?」と伝え、その場が納まるような納得感を本人に与えてみます。

(2)体調面の配慮
少量の食事(例えば、おにぎりなど)を渡すことで納得感を与えることも一つの方法です。ただし、過剰摂取や栄養の偏りには十分注意しましょう。

物を隠す・盗られたと訴える
自分で物をどこかに置いた事実(または、隠してしまう事実)を忘れて「人に盗られた」と勘違いするケースがあります。この場合の対応では以下のポイントを心がけましょう。

(1)否定的な対応を取らない
本人が物を隠してしまう理由や動機を理解することが大切です。頭ごなしに「自分でどこかにしまったのに決まっている」と否定するのではなく、一緒に探してあげましょう。

(2)落ち着いて対応する
認知症の方は家族や身近な人を疑ったりする場合が多く、介護側がショックを受けることもあるでしょう。そのようなときでも介護側には冷静な対応が求められますが、本人が興奮して難しい場合は、別の話題に切り替えて本人を落ち着かせましょう。

(3)隠す場所を把握しておく
認知症の方が普段から物を隠してしまう場所を観察し把握しておくことで、家族や介護者はより冷静に対応することができます。

物が盗まれたではなく、単に「物がなくなった」と訴える場合も、これらの対応を心がけましょう。

認知症の方が下着を隠す場合(失禁)
認知症の方は、「失禁」により汚れた下着をタンスなどに隠してしまうことがあります。この行動は、認知症が原因である一方で、「羞恥心」や「失敗を隠したい」という、誰もが持つ一般的な感情が動機になっていることが多いものです。このような場合、以下のポイントに注意を払い、自尊心を傷つけないように対応しましょう。

(1)隠す行動に対する理解
隠してしまう行動をただ注意するのではなく、隠してしまうきっかけとなった失禁に注目し、本人の立場に立った具体的な対策を考えましょう。

(2)予防策の検討
トイレの場所を忘れて、家の中で迷い失禁をしてしまうような場合は、ドアや壁に目印やトイレと書いた紙を貼るなどしましょう。

(3)医療的なアプローチ
認知症の症状以外に身体的な原因で失禁していることも考えられます。そこで、泌尿器科での受診も検討しましょう。

家に帰ると訴える(帰宅願望)
認知症の方によく見られる行動の一つに「帰宅願望」があります。これは、「家に帰りたい」という言動や、実際に自宅や施設を出ていこうとする行為のことです。この場合の対応では以下のポイントを心がけましょう。

(1)訴えに耳を傾ける
「家に帰りたい」という言動や行動を抑え込もうとするのではなく、訴えに真摯に耳を傾けることが重要です。認知症の方へは「不安や焦りに寄り添って対応する人がいる場所こそ、自分にとって居心地の良い場所である」と認識してもらうことが大切です。そのような居場所を得ることで、帰宅願望の症状は緩和されます。

(2)普段の生活環境を整える
本人が普段から心穏やかに過ごせるように環境を整えることも、症状を軽減させる効果が期待できます。
窓辺のソファ、リビングのテーブルセット、自室など、本人が落ち着きを感じるスペースを観察し、その場所を居場所として認識してもらいます。

様々な認知症の症状と対応ポイント

これまで、認知症には実に様々な症状があることをご理解いただけたかと思います。そこで、ここではまだ紹介していない症状と、その対応ポイントを紹介します。

幻覚や幻聴、妄想でパニックを起こす
特に、レビー小体型認知症でよく見られる症状の一つが幻覚や幻聴です。これらの症状によって、認知症の方は見えない人と会話をしたり、実際には存在しないものを見たりすることがあります。この場合の対応では以下のポイントを心がけましょう。

(1)共感する姿勢を取る
介護者には見えないものでも、認知症の方にとっては現実のものとして感じられるため、共感することを心がけることが重要です。本人の体験に真摯に耳を傾け、不安を取り除きましょう。

(2)安全であることを伝える
幻覚や幻聴、妄想が恐怖を引き起こし、パニック状態に陥ることがあります。このようなときは、「ここは安全である」ということをやさしく伝え、安心感を与えましょう。

(3)落ち着いた環境を提供する
穏やかで安定した環境を整えることで、認知症の方のパニックや不安を軽減することができます。過度の刺激を避け、リラックスできる空間をつくり出すことが効果的です。

暴言や暴力
認知症が進行すると、考えを伝えることが難しくなってイライラが溜まり、暴言や暴力につながることがあります。このような行動へは、以下のポイントを考慮した対応を心がけましょう。

(1)時間や距離を置く
状況にもよりますが、本人が落ち着くまで少し時間や距離をおくことが大切です。感情が高ぶっている場合は、即座に対応するよりも、少し時間をおいてから本人の訴えに耳を傾ける方が、しっかり相手の訴えを理解することができます。このような対応で、介護者もストレスを抱えないようにしましょう。

(2)解決策を工夫する
暴言や暴力は、物理的な問題が原因になっていることもあります。そこで、様々な工夫で解決策を検討しましょう。例えば、トイレの場所が分からなくなることが原因になっている場合は、壁にトイレと書いた紙を貼ります。衣類の着脱でボタンがかけられないことが原因になっているのであれば、ボタンからマジックテープにかえることを検討します。

(3)本人の立場になる
暴言や暴力の背景にある本人の立場や感情を理解し、それに対応することが重要です。認知症の方の訴えを理解し、それに合った対策を取ることで問題の改善に努めます。

その他、様々な認知症の症状
(1)突然服を脱ぐ
見当識機能の障害が原因で突然服を脱ぐことがあります。このような場合も、本人の訴えに耳を傾けたり観察することで対応を検討します。ただし、このような案件では本人の自尊心を傷つけずに対応することも心がけましょう。

(2)夜間の不眠
認知症の方が夜に寝ないのは、日中の活動不足や環境変化によるものが原因の一つになっています。一日の活動リズムを整え、リラックスできる環境を提供しましょう。

(3)介護の拒否
認知症の方が介護を拒否する場合、その背景には恐怖や誤解があることが多いようです。こうした場合には、本人の感情に寄り添い、安心感を提供することが大切です。

認知症で困ったらここに連絡(相談先)

認知症と一言でいっても、「アルツハイマー型認知症」や「レビー小体型認知症」など、認知症のタイプによってBPSDの症状や対応も異なります。

そこで、認知症を疑ったり、症状が悪化した際には、ケアマネジャーなどの専門家や専門機関へ相談し適切な指導を受けましょう。正しい対応を早期に行うことは、認知症自体の進行を遅らせることや、症状の軽減に効果的で、さらには認知症の方だけではなく家族の「生活の質(QOL)」の向上にもつながります。

そこで、認知症全般に関する主な相談先を紹介します。

(1)一般的な医療機関(かかりつけの医療機関)
(2)認知症専門外来や全国もの忘れ外来
(3)地域包括支援センター

まずは、一般的な医療機関やかかりつけの医療機関を尋ねてみましょう。
また、場合によっては認知症専門外来や「全国もの忘れ外来」を利用します。もの忘れ外来では、物忘れが自然な老化によるものか、病的なものかを診断し適切な治療を行います。

地域包括支援センターでは、高齢者やその支援者に対して、総合相談、介護予防ケアマネジメント、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援などの幅広いサービスを提供しています。
介護の問題、健康面の悩み、金銭的な問題、虐待など、様々な相談に対応しています。高齢者本人や家族が、どのような小さな心配事でも相談できるよう、様々な専門スタッフが配置されています。

地域包括支援センターは、各市区町村に設置され、利用はほとんどの自治体で無料です。自治体のホームページなどで担当するセンターの情報を確認しましょう。

認知症の予防や改善に大切なのはコミュニケーション

認知症の予防や進行の遅延、さらには認知症を持つ高齢者と家族との良好な関係づくりには、コミュニケーションが大切です。それには、認知症への家族の深い理解と、高齢者が多様な交流の中で新しい刺激を受け、興味や関心を持つことが大切です。

家族との対話や共有される活動を通じて、認知症の高齢者は新たな視点や情報を得る機会を持ちます。これにより、認知的な刺激が促され、認知症の進行を遅らせる効果を期待することができます。また、こうした積極的な交流は、高齢者の「生活の質(QOL)」の向上にも効果的です。

さらに、デイサービスなどの外部施設を活用することも、認知症の高齢者の方には様々な刺激を受ける素晴らしいコミュニケーションの機会となります。このように、認知症の予防や改善には、家族の理解とサポート、多様な社会的交流の場が欠かせません。

まとめ

認知症の方は、様々な症状が原因で落ち着きをなくすことがあります。しかし、どのような症状であっても、不安や焦りを取り除くことを第一に考えて対応することが大切です。このような対応を心がけることは、症状の軽減とともに認知症の方の「生活の質(QOL)」の向上や、介護の負担軽減にもつながります。

症状が現れた場合は家族だけで悩まず、ケアマネジャーやその他の専門家、専門機関へ相談することも忘れないでください。これにより、専門的な知識を得ることができ、適切なサポートを受けることができます。

また、介護者が日々の介護による強いストレスを感じている場合や自己嫌悪に陥っている場合、そしてどのように対応して良いか分からず悩んでいる場合は、「離れる介護」も検討しましょう。この場合、デイサービスやショートステイなど、自宅以外の施設の利用を検討します。介護福祉士や認知症ケア指導管理士がいる介護施設であれば、安心して介護をお願いすることができます。

このように、認知症の方とその家族にとって、認知症への適切な理解とサポートは必要不可欠です。ただし、介護には身体的・精神的負担がともなうことから、介護側の気持ちも不安定になることがあります。できるだけストレスを溜めない、困ったらすぐに相談するなど、自分が安心する環境をつくることも忘れないでください。


【監修】
榎本
認知症ケア指導管理士
アズハイムで約9年の現場経験を経て、現在は本社のシニア事業部でDX介護を担当。


介護は一人で抱え込まない。介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス、ショートステイを提供するアズハイム。
多職種でしっかり対応してまいります。

<参考文献>
「認知症の9大法則 50の症状と対応策」川崎幸クリニック杉山孝博先生著

厚生労働省「BPSD:認知症の行動・心理症状」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0521-3c_0006.pdf

政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html