親の介護費用は月9万円、総額596万円!?費用負担を減らす方法などを紹介
親の介護にかかる費用やその内訳、負担を軽くする制度や準備のポイントをわかりやすく紹介します。

親の介護にかかる費用は月額平均で9万円、一時的な費用で47万円となり、介護の平均期間である5年の総額は596万円にのぼるといわれています。ただし、在宅介護と施設介護、また要介護度や施設の種類によっても費用は大きく異なります。そして、費用の負担を軽くするためには介護保険制度の活用に加え、家族で早期に親の資産情報などを共有することが大切になります。
このコラムでは親の介護にかかる費用に加え、費用を軽くする制度や工夫、備えについて詳しく紹介します。
<もくじ>
親の介護にかかる費用
「在宅介護」と「施設介護」の費用の違い
「要介護度」で変わる介護費用
「公的な介護施設」と「民間の介護施設」では費用負担が異なる
「公的な介護施設」の費用と特徴
「民間の介護施設」の費用と特徴
介護施設を選ぶ際の重要なポイント
介護費用を支払うのは誰なのか?
費用を軽減する制度
介護の費用負担を減らすための備え
介護費用はこの先も上昇していく
まとめ|親の介護にかかる費用を事前に備える
介護付有料老人ホームも検討しよう
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Q&A|親の介護費用はいくらかかる?

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親の介護にかかる費用
調査からは、月々の介護費用の平均は9万円で、介護用品の購入などにかかる一時的な出費(介護費用)の平均は47万円ということがわかっています。
また、在宅介護と施設介護では費用が異なり、在宅では5.2万円、施設では13.8万円となります(生命保険文化センター 2024年全国実態調査)。
また、介護が必要になる期間は平均して「約5年1ヶ月(約61か月)」という調査結果もあります。この期間で介護費用を算出すると、月9万円×61ヶ月=約549万円となり、ここに施設入居を行った際に必要な入居一時金などの費用(47万円)を加えると、介護1人あたりにかかる費用は596万円にのぼるといわれています。
もちろん、これはあくまでも全国平均であり、介護保険の利用条件や範囲などで費用は変わってきますが、「親の介護には数十万円ではなく、数百万円規模の出費が必要になる(可能性がある)」と認識しておいて間違いないようです。
介護費用には「一時費用」と「月額費用」がある
介護費用には、大きく分けて「一時費用」と「月額費用」があります。
一時費用とは、介護が始まる際に発生する「まとまった支出」のことで、たとえばバリアフリー工事(段差の解消や手すりの設置)、介護用ベッドの購入、入居施設の入居一時金などが含まれます。住宅内での事故防止のための改修は特に重要で、たとえば浴室のカビやヌメリも転倒の原因になることから、床材の変更や換気設備の設置などが求められることもあります。
月額費用は、介護が始まってから「継続的にかかる支出」です。内容としては、デイサービスや訪問介護の利用料(介護保険適用後の自己負担分)、介護用消耗品(おむつ、防水シーツなど)、食費や光熱費(の増加分)などがあります。施設に入居している場合は、これに居住費や管理費、医療費などもかかってきます。
「在宅介護」と「施設介護」の費用の違い
介護をどこで受けるかによって、必要となる費用は大きく変わります。
選択肢として大きく分けると「在宅介護」と「施設介護」の2つとなります。
まず、在宅介護では、訪問介護などの介護サービスに費用がかかるものの、施設の家賃や食費、管理費などは発生しません。そこで、平均的な在宅介護の月額費用は約4.8万円となっています。ただし、在宅介護では家族の協力が不可欠となるため、経済的な負担は軽くても、介護者の肉体的、精神的負担が大きくなる傾向にあります。
一方、施設介護では、介護スタッフが常駐する環境で安心して生活できる反面、月額費用は平均12.2万円と在宅介護の2倍以上になるケースがあります。
このように、在宅と施設では「経済的な負担」と「家族の負担」のどちらを優先するかで選択肢が変わるという点を考慮しておきましょう。どちらにもメリット・デメリットがあるため、親の健康状態や家族の事情、将来設計などを踏まえて慎重に選ぶ必要があります。
「要介護度」で変わる介護費用
介護保険制度では、要支援1・2、要介護1〜5の7段階に分けて介護の必要度が判定されます。
一般的に、要介護度が上がるほど必要なサービス量が増え、それにともなって費用も増加する傾向にあります。また、要介護度が上がることで「訪問介護+訪問看護」「ショートステイの利用」「日中見守り」「夜間対応」など様々な支援が必要になるため、介護保険の支給限度額を超えた部分が自己負担になる点にも注意が必要です。
「公的な介護施設」と「民間の介護施設」では費用負担が異なる。
在宅介護ではなく、施設での介護を選ぶケースも少なくありません。
介護施設には「公的施設」と「民間施設」があり、費用にも大きな違いがあります。多くの方が施設選びで最初に悩むのが、このどちらを選ぶべきかという点です。それぞれの特徴と違いを把握しておくことで、親の健康状態や家族の事情に合った施設を見極めやすくなります。
そこで、次からは公的な介護施設と民間の介護施設の費用や特徴の違いを詳しく紹介します。
「公的な介護施設」の費用と特徴
公的な介護施設には、「特別養護老人ホーム(特養)」、「介護老人保健施設(老健)」、「ケアハウス」などがあります。
これらの施設は、自己負担費用が比較的低く抑えられるのが大きな特徴です。一方で、特に特別養護老人ホーム(特養)は、費用の安さや長期的な介護体制が整っていることから人気が高く、入居までに多くの時間を要する場合も少なくありません。
特別養護老人ホーム(特養)の費用と特徴
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の高齢者を主な対象とし、日常生活において常時介護が必要な方に終身での介護を提供する施設です。
入所時の一時金が不要で、長期的に利用できる点が大きなメリットです。施設には、個室でのケアが可能な「ユニット型」と、多床室を中心とした従来型があり、入所者の状況や希望に応じて選択が可能です。介護保険の利用により、サービス費用も低く抑えられていますが、人気が高いために待機期間が長引くこともあります。
<費用の目安>
・月額費用はおよそ10万〜15万円が目安です。
・一時金は不要で、介護保険の助成により居住費や食費も軽減されます。
・自己負担額は所得や要介護度に応じて決まるため、比較的経済的な負担が少なく、長期的に安心して利用できます。
<入居対象>
・原則、要介護3以上の高齢者が対象ですが、家族による支援が難しい、認知症の進行により生活に支障が出ているなど、特別な事情がある場合には、要介護1・2の方でも「特例入所」として入居できることがあります。
・医療依存度が高い場合は入所が難しい場合もありますが、地域での生活を継続しながら終身まで介護を受けられる環境が整っています。
介護老人保健施設(老健)の費用と特徴
介護老人保健施設(老健)は、医療と介護の中間的な役割を担う施設で、病院を退院した後、在宅生活へ復帰するまでの一時的な滞在を目的としています。
リハビリに力を入れており、理学療法士や作業療法士の配置が義務付けられており、個々の状態に応じたリハビリを提供します。医師も常勤しているため、日常的な医療的サポートを受けられる点が特徴です。
<費用の目安>
・月額費用はおよそ10万〜15万円です。
・特養と比べて医師の配置がある分、やや高めの傾向ですが、初期費用は不要です。
・介護保険による助成があり、要介護度や所得に応じた自己負担が発生します。
<入居対象>
・要介護1〜5の高齢者で、在宅復帰を目指している方が対象です。
・原則として滞在は3か月が目安で、必要に応じて延長が検討されます。
・老健は、医療・介護両面から支援を受けながら、短期集中でのリハビリを目的とした施設です。
介護医療院の費用と特徴
介護医療院は、医療的ケアと介護が同時に必要な高齢者を対象にした施設です。
長期療養を前提とし、病院や診療所に併設されている場合も多く、医療ニーズが高い方に対応しています。看取りやターミナルケアにも対応可能です。
<費用の目安>
・月額の目安は10万〜15万円で、特養や老健と同程度の水準です。
・居住スペースは個室ではない場合も多く、パーティションで仕切られた空間での生活となることがあります。
・介護保険が適用され、要介護度や所得に応じた負担が生じます。
<入居対象>
・要介護1〜5の高齢者が対象で、たん吸引や点滴など日常的に医療管理が必要な方が中心です。
・医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などの専門職が配置され、医療と介護の連携が取れた体制が整っています。
ケアハウスの費用と特徴
ケアハウスは比較的低価格で利用できる高齢者向け施設です。
自立した生活が難しくなった高齢者が安心して暮らせるよう、生活支援を中心としたサービスが提供されます。「一般型(自立型)」と「介護型」に分かれ、利用者の状態に応じた支援が可能です。
<費用の目安>
・入居一時金は0〜30万円程度です。
・月額費用は10万〜20万円が目安で、居住費・食費が含まれます。
・介護型の場合は、別途介護サービス費用の自己負担分が必要です。
<入居対象>
・一般型は、自立しているが、自宅での生活が困難な60歳以上の方が対象です。
・介護型は原則として65歳以上で、要介護1以上の認定を受けた方が対象となります。
・都市部では、地域に限定された「都市型軽費老人ホーム」も存在します。
養護老人ホームの費用と特徴
養護老人ホームは、経済的・家庭的な理由から自宅での生活が難しい高齢者を支援する福祉施設です。
介護サービスの提供を主目的とせず、生活の立て直しを支援する場としての性格が強い施設です。入所には市区町村による措置決定が必要です。
<費用の目安>
・前年度の収入に応じて、月額0〜十数万円程度が目安となります。
・一時金は不要で、費用には主に居住費・食費が含まれます。
・生活保護受給者や被災者などには、費用の免除・軽減措置が適用されることがあります。
<入居対象>
・65歳以上で、経済的困窮や家庭事情により自宅生活が困難と判断された方が対象です。
・介護が常時必要になった場合は退去を求められることがあります。
【参考】介護施設(老人ホーム)10種類の特徴と費用・選び方を解説
「民間の介護施設」の費用と特徴
民間が運営する介護施設には、「介護付有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などがあります。
これらの施設は、公的な介護施設と比べて、レクリエーションや生活支援サービスが手厚い一方で、費用面では高額になることもありますが、自立に近い高齢者でも快適に過ごせる環境が整っており、それぞれに合った暮らし方を選べます。
介護付有料老人ホームの費用と特徴
介護付有料老人ホームでは、食事や掃除といった日常生活の支援に加え、介護・リハビリ・看護まで、ご入居者の状態に応じた幅広いケアを提供しています。
施設のタイプは、介護が必要な方に限定した「介護専用型」、自立した高齢者も受け入れる「混合型」、さらに少数ながら「自立型」も存在します。介護スタッフが24時間常駐しており、緊急時にも迅速に対応できる体制が整っています。
<費用の目安>
・入居一時金:0円~数億円(施設ごとに異なる)です。
・月額費用:10万~100万円程度(家賃、食費等含む)です。
・介護サービス費は、要介護度と所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。
<入居条件>
・原則65歳以上で、要支援1から要介護5の方が対象です。
・自立の方でも、別途生活支援費を支払うことで入居可能な場合もあります。
住宅型有料老人ホームの費用と特徴
住宅型有料老人ホームは、自立している方から軽度の要介護者まで幅広く入居できる施設です。
施設内では、イベントや交流の場が設けられていることが多く、充実した日常を過ごせるよう工夫されています。介護サービスは施設内では提供されず、必要に応じて外部の訪問介護やデイサービスを契約して受ける仕組みです。自由度が高く、自分らしい生活を大切にしたい方に向いています。
<費用の目安>
・入居一時金:0円~数億円です。
・月額費用:10万~50万円程度です。
・介護が必要な場合は、外部サービスの利用に応じて別途自己負担が発生します。
<入居条件>
・主に自立または軽度の要介護状態の高齢者が対象です。
・要介護度が上がると、別の施設への住み替えが必要になる場合もあります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用と特徴
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、60歳以上の高齢者が対象の賃貸型住居で、バリアフリー仕様が標準です。
安否確認や生活相談などの支援サービスが提供され、安心しながら自分のペースで生活を送れます。一部の施設では、スタッフが24時間体制で常駐しているところもあり、緊急時にも対応可能です。また、介護型サ高住(特定施設)であれば、施設内で介護サービスを受けることもできます。
<費用の目安>
・初期費用:敷金など、比較的少額(0円のケースもあり)です。
・月額費用:10万~20万円程度です。
・光熱費や食費が別途かかることもあります。
・介護サービスを利用する場合は、要介護度と収入に応じて自己負担が生じます。
<入居条件>
・基本は60歳以上の自立した高齢者が対象です。
・施設によっては、要支援・要介護者も受け入れています。
【参考】介護施設(老人ホーム)10種類の特徴と費用・選び方を解説
介護施設を選ぶ際の重要なポイント

介護施設を選ぶ際には、「費用」「入居条件」「受け入れ体制」「看取り対応の有無」などを確認する必要があります。
その他、見落としがちな点がいくつかあるため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。ここでは、施設選びで後悔しないために押さえておきたいポイントをわかりやすく紹介します。
高齢者の状態に合わせた施設選び
介護施設には、利用者の要介護度や自立度に応じて適したタイプがあります。
たとえば、24時間の介護支援が必要な方には「特別養護老人ホーム」や「介護付有料老人ホーム」が適しており、自立している方や軽度の介護が必要な方には、「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」など、より自由度の高い選択肢が向いています。介護の必要度や生活スタイルに合った施設を見極めることが重要です。
費用と予算のバランス
施設の種類や提供されるサービスによって、介護施設の費用は大きく異なります。
月額費用には家賃、食費、管理費、水光熱費などが含まれ、施設によっては入居一時金や保証金が必要な場合もあります。まずは、家計の中で無理のない範囲で支払える金額を把握しましょう。その上で介護保険が適用される施設や公的な支援制度が利用できるかも確認し、選択肢を絞り込みましょう。
入居条件と事前確認の重要性
施設ごとに、年齢や要介護度など、入居の条件が設けられているケースがあります。
たとえば、特別養護老人ホームでは原則として「要介護3以上」が入所条件です。そのため、軽度の介護が必要な方や自立している高齢者が希望しても入居できないことがあります。
要介護度や認知症への対応可否
要介護度が高い方や、認知症を患っている方の場合は、施設によって対応の可否が分かれることがあります。
たとえば、認知症に特化したグループホームでは、少人数での手厚い支援が可能ですが、一般の施設では対応が難しいこともあります。今だけでなく、将来の状態変化を見据えて、柔軟な受け入れ体制が整っている施設を選ぶことが重要です。
看取り対応の有無を確認する
介護施設での生活を最期まで続けたいと希望する場合、「看取り対応」が可能かどうかは大きな判断材料となります。
看護師が常駐しているか、医療機関との連携体制が整っているかなど、終末期のサポート体制を確認しておくことで、家族も安心して任せられます。
施設名 | 主な対象者 | 特徴・概要 | 入居形態 |
介護付有料老人ホーム | 要支援~要介護者 | 24時間の介護体制があり、日常的な健康管理や生活支援を受けられる。 | 民間・有料 |
住宅型有料老人ホーム | 自立〜軽度の要介護者 | 自立生活が基本。必要な介護サービスは外部から柔軟に導入可能。自由度が高い。 | 民間・有料 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 自立〜要支援・軽度の要介護者 | 賃貸住宅形式。安否確認や生活支援サービス付きで自由な暮らしが可能。 | 民間・賃貸 |
健康型有料老人ホーム | 自立した高齢者 | 食事・見守り・交流活動など健康的な生活支援が充実。 | 民間・有料 |
シニア向け分譲マンション | 自立した高齢者 | 自立生活を保ちつつ、必要なときにサポートが受けられる。 | 民間・分譲 |
特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上の要介護者 | 公的施設で費用負担が軽く、終身利用が可能。人気が高く、待機が発生することも。 | 公的施設 |
介護老人保健施設(老健) | 要介護1〜5、在宅復帰を目指す要介護者 | 医療・リハビリを中心に支援する中間施設。原則3ヶ月の短期滞在が基本。 | 公的施設 |
介護医療院 | 要介護1〜5で医療ケアが必要な要介護者 | 医療と介護を一体的に提供。長期療養や看取り対応も可能。 | 公的施設 |
養護老人ホーム | 経済的・家庭的に困難な65歳以上の高齢者 | 介護は原則提供されず、福祉的支援が中心。費用負担が少ない。 | 公的・措置施設 |

介護は一人で抱え込まない。
介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス、ショートステイを提供するアズハイム。
多職種でしっかり対応してまいります。
介護費用を支払うのは誰なのか?
介護にかかる費用は、主に介護を受ける本人の年金や貯蓄で支払われているケースが多いようです。 「本人の年金」や「本人の資産」を使って介護費用がまかなわれているということです。
ただし、家族が負担するケースもあります。
高齢者は国民年金や厚生年金を受給していますが、たとえば毎月の年金収入が12万~15万円程度だと、月々8万~12万円にのぼる介護費用を支出しながら生活を続けるのは、決して容易なことではありません。そこで、家族の金銭的なサポートが求められる場合があります。
したがって、できるだけ早い段階で、親の収入や貯蓄、保険の加入状況を家族で共有し、どの程度まで自己負担が可能かを把握しておくことが重要になります。この点を曖昧にしたまま介護が始まると、費用負担をめぐってトラブルが生じることがあります。
費用を軽減する制度
介護にかかる費用を軽減する制度では、「介護保険制度」、「高額介護サービス費制度」、「高額介護合算療養制度」、「特定入所者介護サービス費」などが代表的です。 ここでは、これらの制度をわかりやすく紹介します。
介護保険制度
介護に関する支援制度の中心となるのが「介護保険制度」です。
日本では40歳以上になると全員がこの保険に加入し、保険料を納めています。要介護や要支援の認定を受けると、さまざまな介護サービスを1〜3割の自己負担で利用できます。訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルなど、多様なサービスが対象となります。自己負担割合は、以下のように所得などに応じて変動します。
自己負担割合 | 判定基準(単身世帯の場合) | 判定基準(2人以上世帯の場合) |
1割 | 下記の2割または3割負担に該当しない方。 ※2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)、市区町村民税非課税の方または生活保護受給者は1割負担となる。 | |
2割 | ・合計所得金額が160万円以上220万円未満 ・年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上340万円未満 | ・合計所得金額が160万円以上220万円未満 ・年金収入+その他の合計所得金額が346万円以上463万円未満 |
3割 | ・合計所得金額が220万円以上 ・年金収入+その他の合計所得金額が340万円以上 | ・合計所得金額が220万円以上 ・年金収入+その他の合計所得金額が463万円以上 |
また、限度額を超えるサービスを利用した場合は、全額自己負担となるため注意が必要です。
高額介護サービス費制度
介護保険サービスを長期間にわたって利用すると、月の自己負担が高額になってしまうことがあります。そのような場合に使えるのが「高額介護サービス費制度」です。
この制度では、1カ月間の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みになっています。たとえば、年収が770万円以下の高齢者世帯であれば、月額上限は44,400円に設定されています。これを超えると、申請により後日差額が戻ってきます。
なお、上限額は本人の所得や世帯の構成によって異なり、生活保護を受給している方は15,000円とさらに低く設定されています。
ただし、自動で適用されるわけではなく、申請が必要です。市区町村の窓口に申請書を提出する必要があるため、サービス開始時にケアマネジャーと相談しながら手続きの準備を進めましょう。
高額介護合算療養制度(医療費と合算できる)
医療費と介護費、どちらも支出が多くなった年には、「高額介護合算療養費制度」が利用できます。
この制度は、1年間(毎年8月~翌年7月)の間に支払った医療費と介護サービスの自己負担額を合計し、世帯全体の負担が一定の限度額を超えたときに、その超えた分が戻ってくる仕組みです。対象となるのは、国民健康保険や後期高齢者医療制度、会社の健康保険などに加入している方です。
たとえば、医療保険で20万円、介護保険で15万円を支払った場合、合計35万円になります。この世帯の限度額が31万円であれば、申請により超過分の4万円が支給されます。
ただし、戻ってくる金額の計算にはいくつかの注意点があります。食費や居住費、差額ベッド代などは対象外ですし、すでに高額療養費や高額介護サービス費として支給された分も除いて計算されます。また、医療機関ごとの自己負担が一定額(例:月21,000円)を超えた場合など、細かい条件もあります。
この制度も、利用には申請が必要です。1年間の記録を取っておく必要があるため、領収書や明細書は必ず保管しておきましょう。特に親が病気がちで通院や入院が多い場合は、介護費と医療費のダブル負担になりやすいため、この制度は強い味方となります。
特定入所者介護サービス費
介護施設に入所する際、低所得の高齢者にとってネックになるのが、「食費」と「居住費」です。
ただし、一定の所得や資産条件を満たす方に対しては、食費と居住費に上限が設定されており、その上限を超える金額については「特定入所者介護サービス費」として介護保険から補助を受けることができます。この負担上限額は、本人の所得区分や施設の種類、居室のタイプによって異なる点が特徴です。
こちらも市区町村の窓口での申請が必要です。親が年金収入のみで生活している場合などは、施設選びの前にこの制度の適用可否を確認しておくと、選択肢の幅が広がります。
介護の費用負担を減らすための備え
制度を上手に活用することも大切ですが、介護費用の負担を軽くするには、介護が本格的に始まる前から、経済的な準備や今後の方針について話し合っておくことが、実はとても重要です。ここでは、その理由について紹介します。
親の収入・資産状況を確認する
介護にかかる費用については、まずはご本人の年金や資産など、現在の収入・支出の状況を確認しながら考えることが大切です。
しかし、意外と多いのが「親の収入状況を子どもがまったく知らない」というケースです。聞きづらさはあるものの、いざというときに困らないよう、健康なうちからお金のことを共有することが大切です。特に、以下の内容は事前に確認しておきましょう。
(1)年金受給額(国民年金・厚生年金)
(2)預貯金や株式、投資信託などの金融資産
(3)生命保険や医療保険などの加入状況と保障内容
(4)自宅などの不動産の所有状況
(5)借入金やローンなどの負債の有無
なかには、介護保険が適用されない費用(住宅改修・ベッド購入・入居一時金など)もあるため、「現金化できる資産がどれだけあるか」が重要になります。
お金の話は遠慮しがちなことですが、親の意向や尊厳を守るための大事なコミュニケーションであることを意識し、事前に話し合っておきましょう。近年では「エンディングノート」を使って、家族で資産状況を共有する人も増えているようです。
家族間での分担や役割の話し合い
親の介護を子どもが支える場合、多くの家庭で問題になるのが「兄弟・姉妹間の負担の偏り」です。
「近くに住んでいるから」「独身だから」という理由で、一人に負担が集中してしまうと、金銭だけでなく感情面の不満も生じやすくなります。大切なのは、介護が本格化する前に、兄弟・姉妹全員で話し合いの機会を設けておくことです。その際、次のようなことをポイントに話し合います。
(1)介護にかかる費用をどう分担するか
(2)役割分担(誰が実務を担い、誰が遠方から支援するか)
(3)緊急時の連絡・意思決定のフロー
(4)財産管理や契約関係
「介護の手間」と「お金の負担」は、必ずしも等しく分担できるわけではありません。
重要なのは、「それぞれの事情を尊重し合いながら、できる範囲で支え合う」という意識の共有です。また、記録を残しておくことも後のトラブル回避につながります。
介護費用はこの先も上昇していく
2040年には日本の高齢化率が「35.3%」に達すると政府が推計しています。
これは2019年時点と比べて6.9ポイントの上昇にあたります。 また、要介護・要支援の認定者数も2040年には988万人に増加すると見込まれており、これは現在の約1.4倍に相当します。 さらに、介護給付などにかかる費用は2018年度の約11兆円から、2040年度には約25兆円へと2倍以上に膨らむ見通しです。
このように、介護サービスの利用者数と総費用の増加がほぼ並行して推移しているため、1人あたりの平均費用も緩やかに上昇していく構造が今後も続くと考えられます。
2040年の介護費用はいまより月額2万円から8万円増える⁉
介護費用は、高齢化の進行と人件費の上昇(インフレ)を背景に、2040年では在宅介護は月2万円程度、施設介護は月8万円程度の増加が見込まれます。
実際に、在宅介護の月額費用は、2021年の平均4.8万円 から2024年には5.2万円へと増加しており、年率にすると約2.7%の上昇です。このペースを年2%と仮定すると、2040年には月「7.14万円」にのぼる計算になります。
また、施設介護についても、2021年は12.2万円だった費用が2024年には13.8万円に増加しており、年率約4.1%の上昇となります。こちらもやや控えめに年3%で試算すると、2040年には月「22.1万円」に達すると見込まれます※。
さらに、今後は制度改定による自己負担割合の拡大や、保険適用外の新たな費用の導入なども進む可能性があり、家計への負担は想定以上に大きくなる恐れがあります。
(※)「生命保険文化センター」の調査結果から試算したものです。
費用と負担を抑える取り組み
一方、介護ロボットや見守りICTなどの普及が加速すれば、長期的な費用上昇カーブを緩やかにする余地もあります。
「予防」「制度活用」「資産活用」「テクノロジー」の4本柱で早めに戦略を立てることが、将来の家計防衛策となるでしょう。介護の未来を考えると、いまから介護にかかる費用についてしっかりと把握し、家族で話し合うことが一層重要になります。
まとめ|親の介護にかかる費用を事前に備え

親の介護は、心身のケアだけでなく、経済的な準備も欠かせません。
介護費用は月額で数万円から十数万円、期間にして平均5年以上にわたって発生し、トータルでは数百万円単位の支出になる可能性があります。
費用には、バリアフリー工事や入所時の一時金などの「初期費用」と、日々のサービス利用料や生活費といった「月額費用」の両方が含まれます。また、「在宅介護」と「施設介護」、「公的施設」と「民間施設」では負担額に大きな違いがあり、親の状態や家庭の事情に合わせた選択が必要です。
さらに、介護保険の自己負担割合は、親の所得によって1〜3割と変動し、要介護度が上がるほど費用も増加します。高額介護サービス費制度や医療費控除など、活用できる支援制度を把握しておくことも重要です。
介護費用は、基本的に本人の年金や貯蓄でまかなうケースが多いですが、足りない分は家族が補う場合があります。トラブルを避けるためにも、早い段階で収入・資産状況を把握し、家族間での役割分担や費用負担について話し合っておくことが、円満な介護環境づくりの第一歩となります。
将来の安心のために、今できる準備を少しずつ始めていきましょう。介護は突然始まるものだからこそ、「もしもの時」に備えた情報収集と、家族の話し合いが大切です。
介護付有料老人ホームも検討しよう
施設選びを進める際には、公的施設だけでなく「介護付有料老人ホーム」も選択肢のひとつとして検討してはいかがでしょうか。
高齢者の介護状態や生活スタイルによっては、「しっかりとした介護体制」や「個別対応のサポート」が特に重要になるケースも少なくなく、民間施設も検討することが大切です。
民間の中でも、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、必要な介護サービスを外部と個別に契約するスタイルが一般的ですが、介護付有料老人ホームでは、日常のケアや生活支援が施設内で完結するため、安心感が大きく異なります。
さらに、看護スタッフや機能訓練指導員の配置が義務付けられており、健康管理やリハビリが必要な方にも適した環境が整えられています。
また、日々の暮らしに彩りを添えるレクリエーションやアクティビティも充実しており、単なる介護の場ではなく、「楽しみながら生活できる場所」としての工夫が随所に見られます。
費用面でも、定額制の料金体系を導入している施設が多く管理がしやすいのも大きな安心材料です。
「できるだけ自分らしく暮らしながら、必要なサポートはきちんと受けたい」、そんな思いに寄り添ってくれるのが、介護付有料老人ホームです。
【参考】【分かる】特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームの違い
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介護付有料老人ホームのアズハイムは、「やさしい最先端の介護」の提供が特徴です。
人の「やさしさ」とIoTを活用した効率化を融合し、より質の高い人間的なケアを実現しています。また、ご入居者とその家族の意思を尊重し、心のこもったふれあいや精神的サポートに重点を置いています。
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介護は一人で抱え込まない。
介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス、ショートステイを提供するアズハイム。
多職種でしっかり対応してまいります。
Q&A|親の介護費用はいくらかかる?
Q1.親の介護にかかる費用はどれくらい?
A.月額平均8.3万円、一時費用平均74万円で、5年続くと総額は約580万円になります。
Q2.介護費用にはどんな種類がある?
A.初期にかかる「一時費用」と、継続的にかかる「月額費用」があります。
Q3.在宅介護と施設介護では、費用にどのくらい差がある?
A.在宅介護は月4.8万円、施設介護は月12.2万円と、2倍以上の差があります。
Q4.公的施設と民間施設の費用差は?
A.公的施設は月10〜15万円で一時金不要、民間施設は月10〜100万円で入居一時金が高額な場合があります。
Q5.介護費用は誰が支払うの?
A.基本は親の年金や貯蓄で支払い、足りない分を家族が補うケースが多いようです。
Q6.介護費用を軽減できる制度はある?
A.「介護保険制度」や「高額介護サービス費制度」、「高額介護合算療養制度」などがあります。
Q7.公的支援を受けるには何が必要?
A.所得・資産基準の確認と、市区町村への申請が必要です。
Q8.自宅を使って介護費用を用意する方法は?
A.「リースバック」や「リバースモーゲージ」で、自宅を活用して資金を確保できます。
Q9.介護に備えて家族で話し合うべきことは?
A.親の収入・資産状況、兄弟姉妹間の費用分担や役割分担について事前に共有しておくことが大切です。
Q10.介護付有料老人ホーム「アズハイム」の特徴は?
人の「やさしさ」とITを活用した効率化を融合し、より質の高い人間的なケアを実現しています。
<参考資料>
公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に対する考え方 」
公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」